ブックタイトル潮来町史
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潮来町史
ぺ、信心してつから」って言わったて。〔キツネのお産〕キツネはほれ、お産が重いとね、本当のお産婆さん頼みに来んだって。人間に化けてね、頼みに来んだって。そんで、行ったなあ、見馴れねえとこだけつども、まあ行っただと、車さ乗って、車引きに連れられて、で、行ったらば腹さすったら、「ザラザラ」っていうから、「こら、ただびとだねえ」と思ったけつど、んで、生ませて、直ぐに来っちゃっただとよ。そしたらお礼持って来ただとよ。その反物屋の、丸金ちゅ反物屋の印の反物買って、をやったらば、五百円札で三百円の反物買って二百円のおつりそれをお礼に持って、反物取って来ちゃっだと。それから直ぐに、そこさ行って。したらね。「タぺ、寝ぺえと思って戸を閉め初まったら、入って来ちゃって、見なれねえ女が。そんで、五百円札もらって、三百円の反物やって、おつり二百円ゃった」ちゅうって。「それえ、そっくり産婆さ、礼に持って来た」そいつて、そんであの銭箱開けて見たら、「ぱらつ葉」が一枚あったって。それが五百円に見せてなあ、ずりけえちゃったと。反物と二百円となあ。昔話・世間話と伝説以上のムジナ・キツネの話は、動物とのかかわりにおいてもっとも多い怪異謹である。現在とは自然環境・社会環境が大いに異なっていた時ここに収録されたムジナ・キツネに化かされたこと、代にはあるいは化かされなかったこと、木立の上のムジナの灯りや月、キツネの嫁入り、キツネのくれた葉っぱの金銭等々、」れが事実であることを人びとは信第5章じて疑わなかったのである。このような怪異現象について、とくに狐火に関しては、水辺の状況や光の屈折などから科学的に証明しようとする試みもある。しかし、以前の森林の存在、水域の状況、暗夜の世界、身近なムジナ・キツネの棲息を考えたとき、それは人びとに現在とは異なる心意が形成されていたことも重要な問題なのである。たとえば、}うした怪異を単独ではなく、複数で体験した話も諸々に伝えられている。人間に起こり得る幻想・幻視が、共同に起こることもある。たわいもなく語られる世間話を理解するためには、その話の内容にある、あらゆる背景を考慮しなければならないであろう。927