ブックタイトル潮来町史

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概要

潮来町史

代パーセント前後とみられる。昭和五十二年時の調査では町内の旅館も、現三月と五、六月に集中している。しかし「宴会等その他客」は、観光シーズンには多いのは当然として、九1一月にもみられ、数のうえで宿泊近客を上回っている。V観光業の調査で興味深いのは、旅館、ホテルの収容人員の規模別経営実態である(茨城県商工労働部経営指導課「潮来鹿島観光土産品庖・旅館診断勧告書」)。町内の収容人員一OO人以上二館と一OO人未満六館を対比してみることができる。昭和五十年に一館当りの収容人員は一OO人以上規模で一六O人、一OO人未満で四一人となる。また客数は三六室対一一室である。一館あたり年間の客数は一OO人以上規模で三万四二八六人に対し、一OO人以下規模では二三七九人と七パーセントにも満たない。総客数を「宿泊客」と宴会などの「その他の客」とを対比させると、一OO人以上規模では四五・八パーセント対五四・二パーセントであるのに、O人未満では六七・七パーセント対三二・三パーセントと逆になっている。パーティの客が多いとみられる一OO人以上規模は、いってみれば、都市型あるいはホテル型の営業タイプであるのに対し、一OO人以下では普通旅館型の営業タイプということができる。それでも宿泊稼動率をみれば、一OO人以上規模では二七・三パーセントであるのに、宿泊客に主力を置くはずの一OO人以下では一0・八パーセントにとどまっているのである。一館当り売上高は一O O人以上規模で一億八七O九万円に対し、O人以下規模では一二七六万円で、}れも一館当り客数と同様に小規模経営では、大規模経営の六・八パーセントにすぎない。一室当りの売上高をみれば一OO人以上規模五二O万円、一OO人以下規模二四万円である。その聞きは、売上高にみられるような極端さをやや縮めている。796そうはいっても、昭和五十年において中小企業庁のいう経営指標によれその他の地帯で四四ば一室当り売上高は、観光地帯平均で六一一万円、五万円とされていた。}れをもってすれば、町内の大規模経営といえども観光地帯平均の八五パーセントにとどまっているし、小規模経営にいたっては、投資効率が問題になるほどの低収益である。小経営に対する大経営の優位は、旅館、ホテル業に限らないであろう。したがって、収益を増加させるためには、客数を増加させることが、アルファーでありオメガである。そのために宣伝広告活動を強力に推進すぺきことは、すでに早くから観光業の振興にとって指摘されたところで、「施設の充実策もさることながら、観光宣伝の量と質の問題に負うところが大きい」(「潮来町振興計画」)と指摘されてきたのである。「診断勧告書」の出た昭和五十二年に宿泊した観光客は、「観光旅行業者(団体)のOすすめ」によるものが二八パーセントを占めていたといわれ、観光旅行業者が観光のすべてをとりしきるようになりはじめていたのである。仮に宣伝の効果により、狭小な区域に多数の観光客が集中すれば、交通禍、ごみ・し尿の増大、河川の汚染などの観光公害が一挙に噴出することは免れないであろう。自然景観と調和のとれた観光業を発展させるためには、課題が山積していたし、未解決の部分も多いとみるべきであろう。O